TAWINGS: Invisible/UTM

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Winona Writer

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新進気鋭のフィメール・バンドTAWINGS(トーイングス)が、新曲2曲入りカセット・シングル『Invisible/UTM』を年始に発表、さらに現在入手困難な7インチ・デビュー・シングル『Listerine/Dad Cry』の配信を解禁した。

ゼロ年代のリヴァイヴァルを通過したモダンな音作り、且つそこはかとない“バッド・テイスト”を醸すガレージパンク/ポストパンク。先達の名を借りてTAWINGSの音楽を言い表すとすれば、ダビーなPLASTICSあるいはパーティ要素(およびその倦怠)を盛ったThe Birthday Party。試しに最新作『Invisible/UTM』と、PLASTICSのデビューシングル『TOP SECRET MAN/DELICIOUS』を聴き比べてみてほしい。もし似ていないとしても、両方最高だから。

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慕情 in da tracks

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Winona Writer

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慕情、それは『第七官界彷徨』や『たまこまーけっと』の中で人と人との関係性に匂い立つ香気、あの時あの子が頼んだドトールのミルクレープ、15年前夢中でプレイしていたゲーム音楽。そんな身近でありながら名状しがたい慕情をテーマにしたアンソロジー、もといコンピレーションアルバム『慕情 in da tracks』が、新興ネットレーベル〈慕情tracks〉よりName Your Priceで公開された。

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Ahh! Folly Jet: 犬の日々

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Winona Writer

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「やっと日が暮れる」——ありそうで無い、類稀なる歌い出しである。しかも、『犬の日々』の歌詞に通底する“鬱的なきらめき”が、この一言に完全に収められている。元々『犬の日々』は北村太郎が書いた同名の詩を、チャクラ〜現在ソロで活動する小川美潮がほぼそのままに曲を付けて歌ったことで音源となり、その録音メンバーだった菊地成孔があるときラジオで紹介したため、Ahh! Folly Jetこと高井康生の耳に届いたという経緯らしい。ちなみに先の文章で歌詞を評した“鬱的なきらめき”という表現は、菊地が加藤和彦と彼の代表曲『あの素晴らしい愛をもう一度』に対して用いた(と記憶している)言葉の援用である。

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クラッシュ・ワルツ

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Staff H
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撮影:熊本将

・『クラッシュ・ワルツ』@音太小屋、2017/11/25

当ブログの記事を何度か書いて下さった渡辺こうぢが主宰する、演劇ユニット〈ブーケガルニ〉の旗揚げ公演を観た。演目は刈馬カオスの戯曲『クラッシュ・ワルツ』。同作で刈馬は第19回劇作家協会新人戯曲賞を受賞している。

3世代女性3名男性2名によるワンシチュエーション群像劇。一軒家の一室の窓から交差点を見下ろすことができて、いつもそこには花束が供えられている。観客および登場人物の誰も舞台上の人間関係を完全に把握できてない状況から、展開が進むにつれ、それぞれの抱えた事情が明るみになってゆく構成(情報の限定とよばれる作劇テクである、たぶん)が戯曲の肝となっている。その過程で、花束が象徴する悲しい過去の出来事をめぐった争論が続く。めいめいの事情や思いが、交錯し、衝突し合う。

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ANTI-HEAT ’17

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Staff H

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太陽は厚い雲のむこう隠遁したまま、2017年の夏が終わろうと、してるけれど。夏のフィーリングをプレイバックする企画やっておきます。

*昨年はこちら:ANTI-HEAT ’16/一昨年はこちら:ANTI-HEAT ’15

Youtubeで年内公開されたミュージックビデオから選ぶ、なんとなく夏らしいミックステープ『ANTI-HEAT』の制作も早3年目となりました。おおむね上半期ベスト・トラック集としても、お楽しみ頂けます。ぜひ記事後半の各曲紹介とあわせてご覧下さい。

さらに今回からApple Musicのプレイリストも(聴ける音源のみで)同時公開します! 文明の利器!

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yumbo: 鬼火 リリースライブ in 仙台

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Staff H
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@7ep_records ツイートより

・『鬼火』リリースライブ@cafe Mozart Atelier、2017/07/23

アルバム『鬼火』を昨年10月発表したyumboのワンマン・ライブが、夏を迎えた彼らのホームグラウンド仙台にて行われた。客入れ中はバンドのメイン・コンポーザーである澁谷浩次の希望でSadeが静かに流れ、会場となった営業終了後のカフェが、ライブハウスと異なる和やかな雰囲気そして期待感に満ちる頃、もう始めてしまっていいよね、という具合でシームレスに開演した。

ライブは2部構成だった。 第1部では冒頭『さみしい』に続けて、新譜から『偉大なるサークル』、さらに出来たばかりの新しい曲から古い曲までを織り交ぜた柔軟なセットリストを披露した。後になって振り返れば、『鬼火』収録曲のなかで最初に『偉大なるサークル』を演奏した事は、yumboという慎ましいサークルに似つかわしい濃厚な夜気/妖気を招き入れるための、仕掛けの一つだったのかもしれない。

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A Road to あたえられたもの

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Staff H

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本稿では2人のミュージシャン――オオルタイチ(Oorutaichi)とウタモ(Ytamo)が、ユニット「ゆうき」としてフルアルバム『あたえられたもの』をリリースするに至るまでの、幾つかの音源を筆者の視点でピックアップ(ゆえに見出しを「The Road to…」ではなく「A Road to…」と)しながら辿ってみる。

* * *

『ihati ep』 (2011)

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全4曲。「オオルタイチ+ウタモ」名義で発表された、2人の最初の音源。後のアルバム『あたえられたもの』に収録される曲も全て異なるアレンジとなっており、エレクトロニックな『Plant』が聴けたり、『忘れたい気持ち』のドラムを楯川陽二郎(Boredoms、ゑでぃまぁこん)が叩いていたりする貴重な記録だ。唯一のアルバム未収録『田んぼ』は素朴な自然を歌った弾き語り曲で、以降オオルタイチが作詞曲した『岩木遠足のうた』[1]や『つくばね小水力発電テーマ曲』[2]の先駆といえる。

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あたえられたもの リリースツアー in 仙台

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・『あたえられたもの リリースツアー in 仙台』@rock cafe PETERPAN、2017/06/19

オオルタイチとウタモの2人によるユニット=ゆうきは昨年末に発表したファースト・アルバム『あたえられたもの』を記念し、全国をゆっくりと回るツアーを展開。ユニットによる東北でのライブは、2011年に行われたキセルとの合同ツアー以来となった。

2011年のライブでは、前身のバンド・ウリチパン郡が休止して2人での活動を開始したばかりにも関わらず、それまでの両者の楽曲イメージと異なるアコースティックでソングオリエンテッドな方向性――それは例えば、当時被災地へ熱心に足を運びながらアルバム『リトルメロディ』を完成させた七尾旅人らと共振していた――をはっきりと打ち出し、共演者たちとの相性も抜群で、非常にピースフルな感動に包まれた。ゆえに、5年振りの東北ライブは真に「待望」であった。

繁華街のビルの2階、老舗ロック・カフェの店内に22席を並べた親密な空間の中で、今回の仙台公演が行われた。オープニング・アクトに在仙のミュージシャン佐藤那美を迎えた。

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Powder: H

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Staff H

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イニシャル「H」ではじまる6分前後のトラックばかり収められた、Powderにとって過去最もコンセプチュアルな最新EPを〈Cocktail D’Amore〉からリリース。大胆なジャケットデザインも含め、作品全体がセクシャルなウィットに富んでいる。収録曲は順番に『Hip』、『Heart』、盤を裏返して『Hole』、『Hair』なので、「見えてない」方がB-sideということだろうか。

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sheep sleep sharp / かすかな希望

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・『sheep sleep sharp』@LUMINE0、2017/05/05

新作は「血塗れ」?

〈マームとジプシー〉≒藤田貴大が、過去作で書いてきたどの言葉よりも「すこし先をいく作品」という意味合いで、単に最新の公演ではないオリジナルの最新作と銘打つ『sheep sleep sharp』。公演前のインタビューで藤田は次のような話をした。

大きな話を考える以前に、ほんとにお前次第なことって考えられないのってことを自分自身に対して思ったんですよね。すぐに頭の中を膨大にして「何十年先」とかって言葉を使ってきたけど、すべてのことは自分のためなんじゃないのってことを年末年始に思ったんです。

これまではストーリーのこととか一度も考えたことがなかったんだけど、今回はストーリーのことばっか考えていて。

――――『sheep sleep sharp』藤田貴大 インタビュー

他人に委ねるのではなく「すべて自分のため」に行われなければならない、という一つの主題と、これまでの藤田の手法からの変革とも取れる「ストーリー重視」発言。特に後者にまつわる話題として、『sss』では初めて稽古開始より先に全体のプロットが用意されたらしい。

…などの前情報を携えて、期待に胸膨らませ新宿駅新南口エリアのLUMINE0に足を運んだ。開演を待つホールには役者が着用するものと同じ〈trippen〉の靴を展示していた。『sss』の舞台は横幅に対して奥行きがおよそ4:1位とかなり狭く、客席と対面に、足下を見せるためか高めに床が組んであった。

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